関東と関西の境目はどこ?歴史・食文化・言葉の境界線を検証!
関東と関西は食べ物も違うところが多いですし、言葉のアクセントもちがいます。歴史に目を向けてみても、違うところがあって、比べてみると面白いですね。
さまざまな違いのある関東と関西。そこで気になるのが2つの境目です。関東と関西の境目はどこにあるのでしょうか?関東と関西の境目について、歴史、味、言葉の3つに分けて考えてみました。
関東と関西 歴史的な境目
関東・関西とは、それぞれ「関」よりも東、そして「関」よりも西という意味です。
関西という言葉は関東よりも古く奈良時代から使われてきました。越前にある愛発の関、美濃にある不破の関、そして伊勢にある鈴鹿の関という3つの関を結んだ線が東と西の境界線でした。その境界線よりも西の地域は奈良時代から関西と呼ばれてきたのです。関東という言葉が生まれたのは室町時代を過ぎてからで、関東が「関」と呼んでいるのは箱根の関のことです。
東西を分けるこの境界線で行われた歴史的に大きな戦いが「関ヶ原の戦い」そして「壬申の乱」です。天下分け目の戦いと言われたこの「関ヶ原の戦い」と「壬申の乱」はまさに東西の境界線であるこの地で行われています。
関東と関西 味の境目
関東と関西では同じ食べ物でも味付けに大きな違いがあります。関東と言えばかつおだしに醤油ベースが基本ですが、関西では昆布だしを使い、味付けも関東にくらべかなり薄めです。
濃いめの関東、薄めの関西、2つの味の境目はどこにあるの?ということが気になりますよね。どうやら味の境目は、名古屋市付近にあるようです。
味の境目がよく分かるのは日清食品の有名なカップうどん「どん兵衛」やマルちゃんの「赤いきつね」エースコックの「力うどん」などです。どん兵衛ではパッケージに次のような表示を出しています。
- 関東 かつおと昆布のまろやかなコクつゆ
- 関西 昆布風味の柔らかなうまみのつゆ
関東のどん兵衛はかつおだしに濃口醤油、関西のどん兵衛は昆布だしに薄口醤油です。かつおぶしが「勝男武士」に通じるとされて江戸(関東)ではかつおだしが選ばれ、北海道でとれる昆布が西廻り航路で大阪に運ばれたことから昆布の加工業が発達していた関西では昆布だしが一般で使われるようになった、そんな歴史的な背景から関東と関西の味には違いが出たようです。
なおどん兵衛の味の境目は、富山から関ヶ原、鈴鹿山脈あたりだそうです。カップ麺を見ると、パッケージの横にE(東)W (西)と記載されていますのでチェックしてみてください。エースコックはOとTで表示されているそうです。一度調べてみては?
関東と関西 言葉の境目
関東と関西では、言葉もずいぶん違いますよね。同じ単語を言ったにしてもイントネーションがかなり違いますから、よくわからなくて「え?」と聞き返したくなることも。この言葉の境目は、どの辺にあるのでしょうか。
この点については、言葉(アクセント)の境目は長良川にあるようです。その長良川を境目に三重県では2つのアクセントが存在します。長良川を境目にすると西側に存在する三重県桑名市では、新興住宅地に愛知県の方から引っ越してきた人が多いために最近はだいぶ変わってはきていますが、基本的に関西のアクセントで言葉を話します。しかし長良川を境目にして東側に存在する三重県桑名郡長島町は、名古屋弁ではありますがアクセントは関東弁だそうです。
「雨」と「飴」、「橋」と「箸」と「橋」これらの発音はただ長良川を挟んでいるだけで違うなんて、なんとも面白い話です。
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アホとバカ
アホとバカーこの二つの言葉は、関東と関西ではかなりニュアンスが違います。
アホの語源
秦の始皇帝は多くの農民を工事に動員して中国史上最大の周囲2kmの阿房宮という宮殿を建てて、そのことから秦は滅亡を早める結果となりました。そのことから愚かなことをしたという意味で、阿房宮の阿房をとってアホと言う言葉が生まれました。
バカの語源
仏教の梵語にある愚かという意味を表すmakaを漢字で表した「莫迦」から日本語読みでバカと言う言葉が生まれました。
関東と関西 ニュアンスの違い
関西の人はよく「そんなアホな」「アホくさ!」などアホという言葉よく使って会話をします。普段使う言葉ですから、誰かからアホと言う言葉を使われたとしても、そんなに腹をたてることがありません。関西ではアホと言う言葉は会話の中に普通に登場するもので、人を馬鹿にするという意味は特にないため、気にならないのです。ところがバカと言われると話は別で、関西の人はひどく腹を立てます。
一方関東の人は「バカ」と言われることにはそれほど抵抗はないのだけれど、「アホ」という言葉を使われると、ひどくバカにされたような気持ちになって腹をたてるのだそうです。アホとバカのどちらを言われて腹を立てるかは、関東と関西では全く逆なので、注意しましょう。
関東と関西 多い苗字は?
日本人に多い苗字と言われれば何?と聞かれて、多くの人が思い浮かべるのは「鈴木」と「田中」です。どちらも一般的でどこに住んでいても近くに一人はいそうな名字ですが、関東と関西では鈴木と田中、どちらが多いかが対照的となっています。
関東の名字のベスト5は次の通りです。
1位 鈴木 2位 佐藤 3位 高橋 4位 田中 5位 小林
関西の名字のベスト5は以下のようになっています。
1位 田中 2位 山本 3位 中村 4位 吉田 5位 松本
関西では関東で1位の鈴木さんが5位どころか10位にも入っていませんね。
関東に「鈴木」さんが多いのは、熊野神社に理由があるようです。熊野神社では豊作を祈る儀式で稲穂を積み、その上に「ススキ」という棒を立てました。その「ススキ」から「鈴木」という姓を名乗る人が増えたのだそうです。東海から関東地方には熊野神社の分社が多いため、鈴木の姓は関東に広がり、今に至ります。
関東と関西の名字を比べてみると、関東の名字に比べて関西の名字は画数の少ない漢字が多く使われています。関東は武士の出身者が多かったため形式を重んじましたが、関西は商人の出身者が多かったため、合理的な画数の少ない漢字を選んだ、そのため画数が少ない漢字の名字が多いのだそうです。
東西の違いを調べてみよう
関東と関西では、食べ物だけでなく、いろんな面で違いがあることがわかります。カップ麺などは同じ名前で売っていても東と西で味がかなり違いますから、食べ比べてみるのもよいでしょう。
関東に住んでいると周りにたくさんいる鈴木さんも、関西にいると周りに誰もいないなんてなんだか不思議ですね。今は関東に住んでいるけれど昔は関西に住んでいた人などは、友達の名字を思い出してみると違いがあることにきっと気が付きますよ。