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灯籠流しとは?時期・起源から精霊流しとの違いまで

お盆休みが終わる頃、日本各地で灯籠流しが行われます。夏の夜空の下、幻想的に輝きながら水に浮かぶ灯籠はなんともいえず美しいですよね。でも、灯籠流しにはどのような意味があるのでしょうか。意味・由来から精霊流しとの違いまで、灯籠流しについてまとめました。

灯籠流しとは

灯籠流しはお盆の最後に行う送り火のひとつです。火をともした灯籠を海や川に流すことによって、死者の冥福をお祈りします。

灯籠流しの起源は広島にあります。広島には原爆が落とされ、多くの人が亡くなりました。原爆で亡くなった人たちの霊を弔おうと、遺族や広島市民が川に灯籠を流したことが始まりだったと言われています。灯籠流しは大きな災害の起きた年のお盆に各地で行われ、遺族らが犠牲者の冥福を祈ります。

灯籠流しの時期は特に決まりがありません。お盆の時期は7月のところも8月のところもありますし、災害の追悼行事として行われることもあります。また、花火大会やお祭りと合同で行うところも多いです。灯籠は海や川に流しますから、地域によっては灯籠流しを行わないところもあります。

現代の灯籠流しは?

幻想的で美しい灯籠流しですが、現代では問題があるとされて禁止されるようになった地域もあります。その理由は環境問題にあります。

川や海に灯籠を流すのは非常に美しい光景であっても、流した後はその灯籠がゴミとなってしまいます。灯籠流しを行う地域では何十トンもゴミが出ることもあるため、環境に配慮して禁止となった地域もあるようです。

でも、日本の伝統となっていた灯籠流しがなくなってしまうのは寂しいですよね。そのため、最近では流れていく灯籠をそのまま放置せず、川の上流から流した灯籠を下流で回収するという取り組みが行われるようになりました。伝統は守りたいけれど、環境を害するわけにはいかない、という人々の考え方から生まれた対処法です。こうやって日本の伝統が守られているのは、素晴らしいことですね。

精霊流しとの違いは?

精霊流しとは

灯籠流しと同じような行事に「精霊流し」があります。精霊流しとは、どんなものなのでしょうか。

精霊流しは、初盆を迎えた故人の家族が精霊船を引いて市内を回り、その後に川に流すと言う行事で、長崎市のものが最も有名です。そのほかにも、長崎市の他の地域や佐賀県、熊本県でも行われています。

精霊流しと言えばさだまさしさんの曲を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。長崎県出身のさだまさしさんは「精霊流し」と言う曲を作り、大ヒットしました。「精霊流し」は、亡くなった恋人を思いながら精霊流しをする女性の気持ちを描いたもので、静かで女性の気持ちが痛いほど伝わってきます。さだまさしさんの「精霊流し」を聞いて精霊流しのことを知った方は、寂しく悲しいイメージを持っていることが多いのです。

しかし、実際の精霊流しはこの曲のイメージとは雰囲気が違います。長崎の精霊流しは爆竹を打ち鳴らし、人々たちの歓声の中、精霊船が流されます。しめやかな行事だと思っていた方は、実際の精霊流しがあまりにも元気なお祭りのために戸惑うようです。

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それにしてもどうして精霊流しでは爆竹が打ち鳴らされるのでしょうか。爆竹は中国の影響を受けているようです。爆竹には魔除けの意味があり、爆竹を鳴らすのは中国で行われている「彩船流し」の影響だと言われています。

灯籠流しと精霊流しの違い

灯籠流しも精霊流しも送り火として亡くなった方の冥福を祈るために行われているという意味では同じです。しかし、灯籠流しと精霊流しにはいくつかの大きな違いがあります。

まずはじめに灯籠流しと精霊流しは行われる地域が異なります。灯籠流しは広島に始まり、現在は日本各地で行われています。一方、精霊流しは長崎を中心に、佐賀と熊本県の一部でしか行われていません。

また灯籠流しは灯籠を川に流しますが、精霊流しは灯籠を流すのではなく、精霊船という大きな船を流します。最近では精霊船は実際に流すことなく、流し場で解体されることが多いようです。

さらに灯籠流しと精霊流しはイメージが全く違います。灯籠流しは静かに灯籠を川や海に浮かべて流す静かな行事です。その反対に、精霊流しでは夜遅くまで爆竹がバンバンと打ち鳴らされ、大きな精霊船が街を引き回されますから、お祭りのように賑やかです。

海外の灯籠流し

灯籠流しは、日本だけでなく、海外でも行われています。海外の灯籠流しをご紹介しましょう。

ローイクラトン祭り(タイ)

タイでは陰暦12月の満月の夜、収穫を祈って水の精霊に感謝の気持ちを捧げるために、灯籠を流すローイクラトンまつりが行われます。手作りの灯籠は美しい花や葉で装飾されます。そして、お祭りの日に火のついたろうそくや線香が立てられ、川や海に流されます。

タイでは川や海に限らず、水のあるところに灯籠を流すため、プールにも流されるようです。

灯籠流し(ハワイ)

ハワイでも毎年5月26日に灯籠流しが行われています。戦争で亡くなったアメリカ軍の将兵たちを弔おうと始まった灯籠流しは、現在、戦争に限らず亡くなった人を偲ぶために行われます。

灯籠流し(ベトナム)

1年に1回行われるイメージがある灯籠流し、しかしベトナムの灯籠流しは1年に1回ではなく毎晩行われています。そのことから、ベトナムの灯籠流しは観光名物ともなり、多くの外国人観光客が灯籠を川に流しています。

灯籠流しが行われているのはベトナムのホイアン地域です。灯籠は1個80円ほどで売っています。灯籠を買うとお店の人が細長い鉄の棒を貸してくれます。鉄の棒の先にはフックがついており、灯籠をそのフックに引っ掛けて持ち、そっと川に浮かべます。

灯籠流しに行ってみよう

夜の街にぼんやりとした光を放ち、水の上に浮かんでいる灯籠はなんともいえない美しさがありますね。夏の暑さも夜になれば少し和らぎますし、灯籠の光を見ているだけで癒やされます。

日本だけでなく世界で行われている灯籠流し。各地で行われていますので、まだの方はぜひ一度、足を運ばれてはいかがでしょうか。

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