ひな祭りに食べるのは?縁起のいい食べ物7つの意味・由来
3月3日はひな祭り。女の子のいるご家庭では、家族が集まってみんなでお祝いの料理を食べるお家も多いでしょう。ひな祭りのお祝いの食べ物にはそれぞれ大切な意味が込められています。用意したいお祝いの食べ物から食材に込められた意味まで、ひな祭りの料理についてお話します。
ひな祭りの食べ物とは
ひな祭りは五節句の1つで、正式名称を「上巳(じょうし)の節句」といいます。上巳の節句(ひな祭り)は毎年3月3日に行われます。日付を見ると奇数である3が並んでいますが、他の節句の日も、端午の節句である5月5日、七夕の節句である7月7日など奇数の同じ数字が並んでいます。
ひな祭りの日に、人々は自分の身の穢れを人形に移し、清めて、女性の健康と幸せを願います。ひな祭りは女性にとって欠かすことのできない日です。
節句の日は一年のなかでも季節の重要な節目のときですので、食べものも特別なものが良いとされていました。季節を表す重要な日であることから、節句の日には旬の物や初物など、縁起が良いものを食べて無病息災を祈ります。特別なものというのは別にごちそうや特に手の込んだ料理である必要はありません。上巳の節句であるひな祭りの日も、他の節句の日と同じく、この時期ならではの旬のものや初物を出して祝います。
ひな祭りの食べ物 7選
ひな祭りに食べることが多い7つの食べ物と、意味・由来をご紹介します。
はまぐりのお吸い物
はまぐりのお吸い物は、ひな祭りに欠かせない定番の汁物です。
はまぐりといえば二枚貝ですよね。二枚貝は二枚で対になっているわけですが、同じ二枚貝の中でもはまぐりは対になっている貝殻でなければぴったりと合わせることができません。そういう性質から、はまぐりは平安時代の昔から「貝合せ」の遊びの道具として使われていました。貝合せとは、1枚づつに分けたはまぐりの貝殻の裏に絵や文字を書いて伏せ、1対になっているものはどれかを当てる昔ながらの遊びです。
はまぐりは貝合わせに使われるぐらいピッタリと合わせられる二枚貝であることから仲の良い夫婦の象徴だと考えられてきました。ひな祭りにははまぐりのお吸い物を食べることで、「将来、子どもたちが一人の人と添い遂げられますように。」と願います。
菱餅(ひしもち)
ひな祭りには、お雛様に感謝の気持ちを込めてお供えをするのがしきたりです。菱餅(ひしもち)はお供え物の定番。ひな祭りにみんなでいただくのもよし、過ぎてから食べるのもよいでしょう。
お雛様に菱餅を供えるようになったのは江戸時代からで、当時は緑と白の二色でした。現在のように三色になったのは明治時代に入ってからのことです。菱餅の赤、白、緑にはそれぞれ大切な意味があります。
- 緑 健康や長寿、草が茂った大地
- 白 純血、清浄、純白
- ピンク 魔除け、桃の花
ひな祭りは節句でいいますと上巳の節句です。日本の行事は昔中国から伝えられたものが多いですが、この上巳の節句も中国から伝わったものです。古代中国では、ひな祭りの日である上巳の節句に、母子草(ははこぐさ)を入れた餅を食べる習慣がありました。日本では母子草という名前が「母と子をついて餅にするなんて縁起が悪いのでは」と考えられたため、母子草でのかわりによもぎを入れるようになったと言われています。よもぎが入った緑のもち、ひしの実が入った白いもち、そしてクチナシの実を使って作った赤いもちをひし形にして重ねたものが菱餅です。
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丸ではなくひし形の餅を使う理由については諸説あり、心臓をかたどっているという説もあれば、大地を表している、繁殖力が高い菱の実をイメージしている、など意見は分かれています。けれど、どの説も、娘の健康を祝う親の気持ちに変わりはありません。
ひなあられ
おひなさまといえば家の中に飾るものという感じがありますが、昔はひなを持って出かける「ひなの国見せ」の風習がありました。雛人形を持って野山や海辺に出かけて、お雛様に春の景色を見せるのです。その「ひなの国見せ」に持っていったのがひなあられです。
ひなあられは関東と関西では形や味が違います。関東のひなあられはポン菓子を砂糖で味付けした甘い味のものですが、関西ではしょうゆや塩味の甘くないあられがひなあられと呼ばれています。
白酒
ひな祭りの飲みものといえば白酒です。かつては白酒よりも桃の花びらを漬けた桃花酒が飲まれていました。桃は邪気をはらって、気力や体力を充実させてくれるものであることから、ひな祭りのお祝いの飲み物として使われて来たのです。けれど、江戸時代からは桃花酒よりも白酒が主流となっています。白酒はみりんに蒸した米麹を混ぜて1ヶ月ほど熟成させて作ったもので、アルコール度数は10%前後です。
白酒はほんのり甘くて飲みやすいですが、アルコールが入っていますから子供は飲むことができません。子供用としては、ご飯と米麹を混ぜて一昼夜寝かせて作る「一夜酒」がノンアルコールの白酒として使われます。
ちらし寿司
ひな祭りの日の主食として用意するものといえばちらし寿司です。ちらし寿司にはいろいろな具材が入っていて、目にもご馳走ですよね。でもちらし寿司はただきれいなだけではなく、お祝いにふさわしい意味のあるものです。
- 海老
腰がくるんと曲がった海老は、腰が曲がるまで丈夫でいられますように、という長寿の願いが込められています。また、海老の赤色には魔除け、海老には脱皮を繰り返すことから、立身出世の意味もあります。 - 蓮(はす)
穴がたくさん空いている蓮は、穴があることから遠く先まで見通せますようにという意味があります。 - 豆
豆にはマメに働きますように、という仕事の成功を祈る気持ちが入っています。 - 菜の花
春らしい季節感を表すために使われます。
ちらし寿司の具を見てみると、縁起の良いものが選ばれていることがわかりますね。
さくら餅
ひな祭りにはさくら餅を食べる、と言う方も多いでしょう。実は、歴史的に見れば、さくら餅はひな祭りと直接の関係はありません。
ひな祭りにさくら餅を食べる人が増えた理由には、ピンク色をしているところが桃の節句と呼ばれるひな祭りのイメージにぴったりなことが挙げられるでしょう。買ってきてすぐ食べられる手軽さも重要なポイントです。
また、5月の端午の節句には柏餅を食べますが、端午の節句の柏餅に対をなすものとして、桃の節句であるひな祭りの日には桜餅が出てきたとも考えられます。たしかに、白いお餅に柏の葉を巻いた柏餅と、ピンクのお餅に桜の葉を巻いた桜餅は対照的ですよね。
草餅(よもぎ餅)
日本では、ひなまつりに中国で使われていた母子草(ははこぐさ)ではなく、よもぎを入れたお餅を食べる習慣がありました。ひな祭りには菱餅だけでなく、草餅(よもぎ餅)を食べることも多いです。
女の子の幸せを祈って、縁起のいい食べ物をいただこう
女の子にとって1年に1度の大きなお祭りであるひな祭り。お雛様を飾って盛大にお祝いをするご家庭も多いでしょう。お祝いにはご馳走がつきもの。ちらし寿司にはまぐりのお吸い物、食後の甘味には桜餅など、ひな祭りならではの食べ物を用意して、みんなでいただきましょう。どれも縁起の良い食べ物ばかり。女の子だけでなく家族全員が幸せになれますよ。