おせち田作りの意味・由来!ごまめとの違いとくっつかないコツ
最近では、おせち料理を購入するご家庭も増えています。手作り派の方も、全部作るのではなく、市販品を上手に組み合わせているようです。田作りはおせちに欠かせない料理のひとつですが、ご家庭で作ると言うより買ってくるものと言うイメージが強いかもしれません。
実は、田作りは意外に簡単に作ることができます。意味・由来からごまめとの違い、くっつかないコツまで、田作りについてまとめました。
おせち田作りの意味・由来
田作りはカタクチイワシの稚魚を使って作る料理です。カタクチイワシの稚魚を素干しにした後、乾燥させたものを煎ります。そこに砂糖、醤油、みりんなどを入れて煮詰め、甘辛く味付けた汁と絡めると田作りはできあがりです。
おいしい田作りは、体の表面やお腹が光っています。頭も尾もとれておらず、形が崩れていない田作りは良品です。田作りには健康、豊作、そして子孫繁栄の願いが込められています。稚魚がたくさんいることから田作りには子沢山の意味があり、子孫繁栄を願ってお正月のおせち料理の中にいられるようになったようです。
田作りは関東ではおせち料理の祝い肴の1種となっています。祝い肴とはおせち料理が数ある中でも最低限これだけは用意しておきたい、と言われている3種類のことで、関東と関西で内容に違いがあります。
- 関東:田作り(健康、豊作、子孫繁栄)、黒豆(健康)、数の子(子孫繁栄)
- 関西:たたきごぼう(豊作)、黒豆(健康)、数の子(子孫繁栄)
3種を見てみると、健康と子孫繁栄を願う黒豆と数の子は共通しており、田作りとたたきごぼうの違いであることがわかります。ただし、関西地方でも田作りを入れる地域・ご家庭もあり、家族の健康としあわせを願う気持ちは同じです。
魚なのに田作りと言うのはなぜ?
どうしてカタクチイワシが田作りと言われるのか、魚が豊作の象徴と言うのも不思議な気がしますよね。カタクチイワシの料理が田作りと呼ばれるようになったのは、肥料として用いられていたからです。昔は、田植えのとき、カタクチイワシの稚魚は高級な肥料として使われていました。いわしが肥料としてまかれた田んぼは大豊作になったようですよ。
田作りとごまめの違い
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おせち料理に入っているカタクチイワシの料理は、ごまめと呼ばれることもあります。田作りとごまめは、基本的には違いがありません。ただし、ごまめは田作りよりも小さいものを指すことが多いようです。
田作りとごまめを比べてみると、ごまめのほうが歴史が古く、戦国時代の半ば頃から存在していました。ごまめは古くは「こまめ」と呼ばれていました。「こまむれ(細群)」という言葉の「むれ」が省略されてこまめとなり、その後、「こ」が接頭語である「御(ご)」に変わったようです。ごまめは漢字で書くと、「五万米」「五真米」と書きます。その漢字を見ても、ごまめが豊作を祈る祝い肴だということがわかりますね。
ごまめは「御健在(ごまめ)」ともなることから、元気で健康に暮らすことを意味するようになりました。また、「まめ」という言葉が入っていることから、まめに働く、まめに暮らすという意味にも通じることから、ごまめは健康で勤勉に暮らせるように、という願いが込められた縁起物となったようです。
くっつかないようにするコツは?
田作りは砂糖や醤油、みりんを煮詰めて作りますが、調味料は冷めるとべたべたになりやすく、べったりくっついて固まった状態になってしまうことがあります。
田作りをくっつかないようにするためには作り方にコツがあります。田作りに味をつけるとき、調味料を煮立てた後に炒ったカタクチイワシを入れるのですが、必ず火を止めてから入れるようにしましょう。火を止めないと調味料が煮詰まってしまうため、かたまりやすくなってしまうので要注意です。調味料を煮立てた後、最後にお酒を回し入れるのもくっつきにくくするのに効果があります。バットに広げて粗熱を取ってから保存するのも、くっつかないように、日持ちさせるためのコツですよ。
カタクチイワシを炒るときや調味料を煮立たせるときには、電子レンジを使うと便利です。ぜひお試しくださいね。
家族の健康と幸せを願って
香ばしく炒りあげたカタクチイワシに、甘辛のタレを絡めた田作りは、お正月のお祝いにピッタリの縁起がよい食べ物です。レンジを使えば簡単に作れるので、今年は手作りにトライしてみませんか?味付けを調整できるのも手作りのいいところ。家族の健康と幸せを願いながらいただきましょう。