関東と関西という言葉は地域を表す言葉としてよく使われますが、関東と関西はどこで分かれるのか、あなたははっきり答えられますか?
東にある関東と西にある関西は日本全体から見るとそれほど離れた場所ではないのですが、いろいろな面で違いがあることから、文化の違いなどを表すときなどによく使われます。関東と言えばどこ?関西といえばどこ?と聞かれれば、だいたいの人は答えられるでしょうが、ではその間にある「関」とは何?と言われると困ってしまう人が多いのでは?
関東と関西を分ける「関」とは何なのでしょうか?関東と関西という分け方ともう一つ、よく使われている分け方に東日本と西日本がありますが、その分け方は関東と関西の分け方と同じなのでしょうか?それとも、これはまた別の分け方なのでしょうか?
言葉としてはよく使っているけれど、よく考えるとわからない、関東と関西の分け方についてまとめました。
関東と関西をわける「関」とは
関東と関西をわける「関」という言葉は、もともと中国の考え方に由来しています。中国では「函谷関」を境目としてそれよりも東の地方を関東、西の地方を関西と呼んでいました。それにならって、日本では関所を境目として、東側を関東、西側を関西としたのです。しかし、その「関」の場所は時代によって考え方が違うため、関東と関西の分け方も異なります。
関東とは?
現在の関東は東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬を指しますが、関東の関は次の2つです。
- 足柄の関所(神奈川県と静岡県の県境)
- 碓氷の関所(群馬県と長野県の県境)
現在よりも1000年ほど前の平安時代の関東は、現在の関東を考えるともっと広い地域を指していました。平安時代の関東と関西の分け目の関と考えられているのは、以下の3つの関です。
- 不破の関所(岐阜県)
- 鈴鹿の関所(三重県)
- 愛発の関所(福井県)
この3つの関所よりも東側はすべて関東でしたから、長野県や愛知県、山梨県は関東に属していました。しかし、室町時代に鎌倉公方が治める国が関東と呼ばれるようになってだんだんと関東の地域は狭まり、江戸時代になる頃には、現在関東と呼ばれている地域とほぼ同じ範囲が関東と呼ばれるまでになり、今に至ります。
関東はもともと「坂東」と呼ばれていました。漢字を見ればなんとなく検討がつくように、これは坂の東側という意味です。関東は山に囲まれた地域ですが、以前都があった奈良や京都では、ある坂を超えて東側にある地域を「坂東」と呼んだようです。その坂とは、足柄山の足柄坂、そして碓氷山の碓氷峠です。実際、昔の人々は都(奈良や京都)から現在の関東へと往来するときにこれらの坂を通っていたといいます。
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関西とは
関西は大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県を指すことが一般的ですが、その2府4県に福井県、鳥取県、徳島県を加えた2府7県を指す考えもあります。
関東に対して関西の関は次の4つです。
- 鈴鹿の関所(三重県)
- 逢坂の関所(大阪府)
- 不破の関所(岐阜県)
- 愛発の関所(福井県)
東海道の要所である鈴鹿の関所、京都へ抜けるためには必ず通らなければいけない東海道、東山道、北陸道から京都への要所をつなぐ逢坂の関所、東山道の要所である関ヶ原近くの不破の関所、そして北陸道の要所である愛発の関所、この4つの関所よりも西の地域が関西です。
関西という言い方は昔から言われていた言葉ではありません。関西という言葉が使われるようになったのは明治時代以降のことで、それまでは畿内という呼び方が一般的でした。中国では皇帝や王が住む周辺のことを「畿内」と呼んでいました。ですから、昔の日本の中心だった西の地域のことを人々は「畿内」と呼んだのです。
関西と呼び方は関東に対する対の言葉として生まれましたが、明治時代になって日本の中心が関東に移るまでは、関西という呼び方はほとんど使われていません。
東日本・西日本との違い
関東、関西という分け方の他にもう一つ、東日本、西日本という分け方があります。関東と関西は関所で東と西に分かれますが、東日本・西日本はどこに境界線があるのでしょうか。
実は、東日本と西日本との間にははっきりした境界線は定義されていないようです。しかし、日本の東半分が東日本、そして西半分が西日本として、その境界線に当たるポイントとなる場所は愛知県を中心とした中部地方に当たることはわかっています。では中部地方は東日本に入るの?それとも西日本に入るの?というところが気になるところですが、中部地方はどちらにも当てはまり、明確に境界線がどことは定められていません。
一般的には日本列島の中央に位置している名古屋(愛知県)から東が東日本、西が西日本と呼ばれています。名古屋(愛知県)を中心にした地域は中部地方と呼ばれています。余談ですが、名古屋を本拠地にしているプロ野球チームの「中日ドラゴンズ」の中日とは、中部日本からその名前をとったようですよ。
境目を考えるのはおもしろい
関東や関西という言葉はよく使いますが、関東、関西の「関」とはなに?と改めて考えてみると、わからなかった方は多いのでは?新幹線に乗って関東から関西、または関西から関東に渡るときは山を超えます。新幹線に乗ったときなどに何気なく超えている山こそ、関東と関西を分ける関だったんですね。
関東と関西の境界線を考えていくと面白いのは境界線に当たる中部地方です。関東と関西の境界線は国境のようにはっきりここ、と定まっているわけではありませんから、境界線に当たる中部地方は、関東なのか関西なのか、また東日本なのか西日本なのか、人によって意見が分かれそうですね。あなたはどう思いますか?