「つまらないものですが」は古い?失礼にならない手土産の渡し方を伝授

日本では手土産など誰かに贈り物をするときに「つまらないものですが…」という言葉を添えて渡すことがあります。以前は当たり前のように使われていた言葉ですが、最近ではこの言葉を好まない人も増えているようです。

表現に込められた意味と、感じ方の変化、上手な言い方と言われたときの対応など、当たり前のように使っていても、その意味を考えるとこれでいいの?と思ってしまう「つまらないものですが」について考えてみました。

「つまらないものですが」の意味・語源

「つまらないものですが」の「つまらないもの」とは本当に文字通りつまらないものを指すわけではありません。

「つまらないものですが」という言葉の中には、「わたしは精一杯選んだ品なのですが、立派なあなたを前にするとこれもつまらないものに見えてしまいますが」という気持ちが込められています。つまり、「つまらないもの」とは文字通りの「大したことがないもの」という意味ではなく日本人ならではの相手を素晴らしい人として立てて自分を謙遜したことから出た言葉なのです。

あくまでも相手を立てて言う表現ですから「つまらないもの」と言っていても渡すものが「つまらない」わけではなく、自分にとっては最も良いと思って選んだものなのです。

「つまらないものですが」という言葉の語源は、新渡戸稲造の著書の「武士道」にあります。新渡戸稲造とは明治時代から大正時代の教育者です。彼は、日本人の生き方や考え方について述べた「武士道」の中で「つまらないものですが」について語っています。日本人ならではの相手を敬い自分はへりくだる謙譲語、奥ゆかしい大和言葉の一つとして、「つまらないものですが」という言葉は今も使われ続けています。

つまらないものならいらない?


相手を素晴らしい人と表現するために自分を謙遜して言った「つまらないものですが」という言葉は、その言葉に込められた謙遜の意味を誤解して、「つまらないものならいらない」と言う人も出てくるようになりました。こちらは好意で渡した手土産も、「つまらないものですが」と謙遜して言ったために、「なんでつまらないものを選んだの?」と思われてしまうことも… 相手を立てて言った言葉なのに、うまく伝わらないのだとしたら意味がないですよね。

日本人らしい奥ゆかしさが現れた「つまらないものですが」という謙譲語ですが、それはちょっと言い過ぎで、そこまで自分を謙遜する必要がないのでは?という考え方も最近では広がっています。謙譲語を使われるほどかしこまった間柄でもないのに、そんな言い方をしてもらわなくてもいいーそんな考えから「つまらないものですが」と言う言葉は好まれなくなっているのです。

誤解を避け相手の方に気持ちよく受け取ってもらうためにも、最近では「つまらないものですが」と言う言葉は、以前ほど使われなくなって来ています。

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失礼のないように言い換えるには

「つまらないものですが」と言う表現があまり好まれないからと言って、「すごくいいものだからあなたに買ってきたのよ」といったストレートな表現はまだ日本ではなじみがありませんし、失礼だと思う方もいるでしょう。そんなときのために、「つまらないものですが」の失礼のない言い換えをご紹介しましょう。

  • 心ばかりのものでございますが
  • ほんの気持ちばかりですが
  • ささやかですが

どの表現も「つまらないものですが」と同じ謙譲の表現で「贈り物では表せないほど感謝しています」という意味が含まれています。「つまらないものですが」をそっくりそのまま言い換えるだけで使えますから、非常に使いやすくおすすめです。

  • お気に召していただけると嬉しいのですが
  • ご笑納ください

どのような手土産を渡すときでも使えるのがこれらの表現です。いろいろな場合に使うことができる表現ですから覚えておきましょう。

  • お口にあうかどうかわかりませんが
  • とても評判のいい〇〇ですので、召し上がっていただきたいと思いまして

手土産にお菓子を渡すときなどに使えるのがこの表現です。特に謙遜の気持ちが強いわけでもなく、相手を気遣った感じの良い表現です。相手のことを思って選んだという気持ちも伝わりますね。

「つまらないものですが」と言われたら?


「つまらないものですが」そう言われて返答に困ることもあるかもしれません。「つまらないものですが」に対してはどう答えたらよいのでしょうか。

「つまらないものですが」という言葉は自分に対して尊敬、謙遜の意味を込めて贈り物をするときに相手から出た言葉です。自分に心配りをしてくれたことに対しては、感謝の気持ちを込めた言葉を返す必要があります。

「つまらないものですが」と言われたら「お心遣いありがとうございます」と答えましょう。相手が心を込めて贈り物をしてくれたことに対する感謝の気持ちは「お心遣い」という言葉で相手にじゅうぶん伝わりますよ。

「つまらないものですが」と言われたら「ご丁寧にありがとうございました」と言う答えも考えられます。こちらも相手の細かい気配りに対する感謝の気持ちを表す言葉として適切なのですが、一つ気をつけなければいけないのは皮肉の意味で捉えられないか?ということです。ご丁寧に、という言葉は必要以上に細かいことに気を配っている、と捉えられてしまうこともありますから、この言葉は状況に応じて言い方を工夫して使うのがポイントです。

言葉は「生き物」だと心得よう

古くからの奥ゆかしい大和言葉として使われてきた「つまらないものですが」。日本人らしい奥ゆかしさを表す言葉で、もちろん失礼な言い方ではないのですが、最近ではこの言葉を言われてよく思わない人が増えていることも事実です。手土産を渡すときに謙遜の意味を込めて言っただけなのに、相手がその言葉の真意を知らないために誤解されたら、がっかりですよね。

「つまらないものですが」は間違った表現ではありません。けれど、誤解されないためには「つまらないものですが」と言うよりも、「心ばかりのものですが」または「お気に召していただけると嬉しいですが」など、現代風の表現を使うのがよさそうです。


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