天津飯の関東と関西の違いは「あん」にあり!
中華料理の中にはいろいろな種類がありますが、その中でも天津飯が好きだ、という方は多いのではないでしょうか。
御飯の上に卵がかかって、その上にさらにあんがのっている天津飯、お店や家などどこかで食べたり、少なくとも1回でも見たことはあるでしょう。
定番料理の天津飯ですが、関東と関西では違いがあります。
関東と関西ではどんな違いがあるの?そもそも天津飯はどこのお店から生まれたの?関東と関西の天津飯の違い、そして天津飯の発祥についてお話します。
「天津飯」とは
項目 | 説明 |
---|---|
発祥の地 | 日本 |
一般的な誤解 | 中国(特に天津市)が発祥と思われがち |
名前の由来 | 昭和時代の物資不足、中国の天津市からの米を使用 |
元々の名称 | 天津芙蓉蟹肉飯 |
名称の変遷 | 「天津芙蓉蟹肉飯」が短縮されて「天津飯」となった |
天津飯はいったいどこで生まれた料理なのでしょうか。中華料理なのだから中国が発祥の地だと思っていませんか?
中華料理は基本的には中国から伝わった料理ですし、中国には天津市という地域もありますから、天津飯も中国が発祥の地に見えます。
しかし、天津飯は中国の天津市にも、中国の他の地域にもない料理です。実は、天津飯は日本独特の料理なのです。
日本独特の料理なのにどうして「天津飯」という名前がついたの?と思ってしまいますが、これは昭和の物資が不足していた時代にさかのぼります。
日本には、中国の天津市から仕入れた米を炊いて、その上にかにの肉入りの卵をのせた丼ものを「天津芙蓉蟹肉飯」と呼んでいました。その言葉が短くなって、現在の「天津飯」という名前になったようです。
関東と関西で違う天津飯
天津飯は日本全国どこでも同じ味か?というと、関東と関西では味に違いがあります。天津飯の「あん」には3種類があります。それが甘酢・醤油・塩です。
関東の天津飯はご飯の上にカニ玉をのせて甘酢あんをかけたものです。しかし、関西の天津飯には2種類があり、1つは醤油あん、もう1つは塩あんです。
また、全国にチェーン店を持つ餃子の王将は、関東と関西で天津飯の味付けを分けています。関東のあんはケチャップだれと塩だれ、そして関西のあんは甘酢だれと塩だれです。
関東と関西の天津飯の味の境目はどこにあるのか気になりますよね。境目は静岡県の浜名湖あたりにあるようです。
浜名湖から東が関東の甘酢あん、西が関西の醤油のあん。でも、これは餃子の王将が関東風と関西風に分けている境なだけだという意見もあり、本当の境がどこにあるのかは定かではありません。
関東風は甘酢あんが主流
関東風の天津飯を考えたのは、1910年に浅草で創業した「来々軒」だと言われています。
「来々軒」では急いで食べたいお客様の要望にこたえて「パッと出せるもの」としてご飯にカニ玉をのせたご飯を提供しようと考えました。
しかし、それだけでは味が足りない、ということで、酢豚のあんを応用して醤油味の甘酢あんを作って、上にかけたのだそうです。
そのご飯は「天津芙蓉蟹肉丼」と名付けられ、現在の関東風天津飯の原型となりました。
「来々軒」で関東風の天津飯が生まれた、というこの説は、1958年に「来々軒」に入った元従業員の話から来ています。
醤油あん・塩あんの2種類がある関西風
関西風の醤油あん、塩あんの天津飯を考えたのは、大阪城近くの馬場町に大正時代に開業した「大正軒」だと言われています。
戦後は食糧不足で売り物がなかったため、「大正軒」ではそんな中でも何か売れるものをと考えて、中国の天津ではよく食べられていた「蓋飯」(ガイ・ファン)が良いのではないか、と思い当たりました。
「蓋飯」とは、御飯の上にいろいろな料理をかけて食べる丼もののような料理です。
「来々軒」の店主は天津でとれたワタリガニを使い、カニ玉を作ってご飯にのせてあんかけをしました。それが現在の関西風の天津飯の原型である「芙蓉蟹飯」です。
「芙蓉蟹飯」は店主が醤油あんを料理に多く使う山東省の出身だったため、醤油あんでしたが、その他に関西風には鶏ガラスープであっさり作る塩あんもあります。
天津飯は最初は蟹肉を使って作っていました。しかし後に蟹肉が高くて採算が合わないという理由で、大阪湾でとれるサルエビにかわっています。
「大正軒」で関西風の天津飯が生まれたという説は、大阪の調理師からのまた聞きから来ています。
地域 | 主要なあんの種類 | 起源の店舗 | 起源に関する備考 | 特徴的な材料 |
---|---|---|---|---|
関東 | 甘酢あん | 来々軒(浅草) | 1910年創業、元従業員の話から来ている | カニ玉、ケチャップと塩のあん |
関西 | 醤油あん、塩あん | 大正軒(大阪) | 大正時代開業、大阪の調理師の話から | サルエビ、甘酢と塩のあん |
境目について:
- 餃子の王将によると、静岡県の浜名湖あたりが境目。ただし、これは確定的な情報ではない。
関東風:
- 酢豚のあんを応用して甘酢あんを作成。
関西風:
- 最初は蟹肉を使用していましたが、後にサルエビに変更。
- 醤油あんは山東省の影響、塩あんは鶏ガラスープを使用。
以上のように、関東と関西で天津飯のスタイルが異なっています。どちらもその地域特有の文化や食材が反映されていることが興味深い点です。
日本生まれの天津飯、関東風も関西風も美味しい!
天津飯は中華料理の1つなので中国から伝わったと思いきや、実は日本生まれの中華料理だった天津飯。
甘酸っぱさが売りの関東風天津飯もいいですし、さっぱり味がお好みの方は関西風の天津飯がおすすめです。
最近では白ごはんでなくチャーハンを使った変わり種の天津飯も中華料理店で登場するようになりました。
味の種類が大きく分けて3つあって、それ以外にチャーハンを使うなどの変わり種もある天津飯。関東と関西、また変わり種の天津飯を食べ比べしてみませんか。
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