味だけじゃなかった!卵焼きが関東と関西で違う理由とは
子供から大人まで、みんなが好きな家庭の定番料理「卵焼き」。朝ごはんには必ず卵焼きを食べているという方も多いでしょう。いつも家で当たり前のように食べている卵焼きですが、実は卵焼きは関東と関西では味が違います。関東と関西では卵焼きの味の好みが違っているのです。
どうして関東と関西では卵焼きの味に違いが出てしまったのでしょうか?関東と関西では、卵焼きの味も違えば、卵焼きを作る玉子焼き器の形も違います。関東、関西の卵焼きの違いについてお話します。
関東風は甘い卵焼き
関東風は甘い卵焼きが基本です。作るときには砂糖を入れて甘く仕上げる関東風の卵焼き、関西の人に言わせると、甘い卵焼きなんてなんだかおかずじゃないみたいだし、おかしいよ、という話ですが、関東の人にとっては、砂糖の入っている甘い卵焼きこそ、食べると優しい気持ちになって癒されるといいます。甘い卵焼きは、関東では老若男女、みんなに愛されています。
関東風の卵焼きを作る卵焼き器はサイズはいろいろありますが、形としては正方形をしています。関東では卵焼きを作るとき、適度な焦げ目をつけて厚く巻き、一発で返すことを良いとしています。
関東風の卵焼きが甘い理由は?
関東風の卵焼きがどうして甘くなったかは、関東の人の味付けの好みに理由があります。関東と関西では料理の味付けの好みが違うのは多くの方がご存じでしょう。関東の人はしっかりした味付けのものを好みます。
卵焼きはメインの料理というよりも、メインのおかずである煮物や焼き物のサブのおかずというイメージがありますよね。関東の人が好む煮物や焼き物はしっかりした味をしています。ですから、ここでしょっぱい卵焼きを合わせてしまうとどうにもバランスが悪くなってしまう!ということから、あえて関東では卵焼きを甘くすることによって、メインのおかずとうまくバランスを取ったようです。
関西風卵焼きはダシが決め手!
一方、関西風の卵焼きは甘いというよりもちょっとしょっぱい卵焼きが基本の形です。関西風の卵焼きはダシがきいていて全体的には淡い塩味に仕上がっています。だしのきいた卵焼きは、白いご飯に合わせるとぴったりです。だしが入った卵焼きといえば「だし巻き」卵ですよね。だしをたっぷり入れて作るだし巻き卵は、ふるふるした食感で人気があります。
関西風の卵焼き器はこちらもサイズはいろいろあるのですが、形は関東のものとは違って縦長の長方形をしています。関西風の卵焼きはだし巻き卵を例にすればわかるように巻くというイメージですが、縦長の卵焼き器ならば卵を巻きやすく、関西風卵焼きを作るのに最適です。
関西風は「卵巻き」?
関西風の卵焼きの味は関西の人の味付けの好みに合っています。関西の人が食べるおかずであるおばんざいは、どちらかというと甘めでやさしい味付けをしています。このおばんざいに合わそうと、関西では卵焼きをしょっぱくしてバランスを取ったようです。
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関東風の卵焼きは関東とは作り方が違います。厚く巻いて一気に返すという作り方ですからまさに「卵焼き」ですが、関西風の卵焼きは、何度も巻いて作りますから卵焼きというよりも「卵巻き」です。だし巻き卵ではなくてもだしをたっぷり入れて巻いて作る関西風卵焼きの巻く数は、関東風のものよりもかなり多いです。
卵焼き器の形が違う理由
関東で使う卵焼き器の形はまっ四角の正方形で「東型」と呼ばれています。その反対に関西で使う卵焼き器の形は縦長の長方形をしていて「西型」と呼ばれています。どうして正方形と長方形、というように味が違うだけでなく卵焼き器まで違いがあるのかは、卵焼きの味や焼き方の違いから来ています。
関東では甘い卵焼きを好きな人が多いです。魚のすり身を入れてカステラ風の卵焼きを焼くことも多いです。魚のすり身のほかに、卵焼きの中心にうなぎやあなごを巻いた卵焼きも作られることがあります。お正月によく食べる伊達巻も、関東風卵焼きの作り方で作られます。こういった中身が入った関東風卵焼きを作るときは、何度も巻くのではなく一度に卵液をたっぷり入れて厚くして、あまり巻かずに一発で返すことが必要です。一発で返すことを考えると、縦長の卵焼き器は使いにくいですから、正方形の卵焼き器が使いやすいです。
一方、関西ではおばんざいに合うだしのきいた淡い塩味の卵焼きが好みです。関西風卵焼きを作るときは、だしをたっぷり入れた卵液を作り、一気にではなく少しづつ卵液を卵焼き器に流し入れます。そしてちょっと焼いたら巻いてまた卵液を流す、という行為を何度も繰り返して、何層にもなる卵焼きを作ります。何度も巻くとなると正方形ではすぐに巻き終わってしまって使いにくい、そう考えると縦長の卵焼き器は関西の卵焼きを作るに使いやすいです。
他の地域の卵焼きは?
関東と関西だけでなく日本のその他の地方で一般的に食べられている卵焼きを調べてみると、全国的に見て多くの地方で、甘い卵焼きが好まれていることがわかりました。東北、北海道、九州でも甘い卵焼きは多いです。ダシを入れた塩味の卵焼きを好きだと答えているのは、大阪や京都、奈良、兵庫、和歌山といった関西エリアと高知県のみです。
ちょと好みが違うのが沖縄の卵焼きです。沖縄ではしょっぱい卵焼きが好まれますが、関西と違うところはダシを入れないこと。味付けに使うのは塩だけというシンプルさです。ほかの地方の人から見れば、塩だけなんて信じられない!というところでしょうが、シンプルなのも試してみるとおいしいかも。
これだけ卵焼きの好みが違うと、全国展開で卵焼きを出しているコンビニのお惣菜の卵焼きはどうなっているのか気になりますよね。全国にチェーン展開をしているセブンイレブンでは、関東と関西で別の卵焼きを出しています。いずれも値段は100円と変わらないのですが、関東他全国展開している卵焼きは「切れてる厚焼き玉子」、関西に出している卵焼きは「切れてるだし巻き卵」です。セブンイレブンでは、こぶ出しやかつおだしなど、だしを入れて何層にも巻いたダシ巻き卵が店頭に並んでいます。
いつもと違う卵焼きを試してみよう
卵焼きというとみんな頭に一つの形しか浮かばないだろう、というほど卵焼きは定番中の定番の食べ物ですが、頭の中を覗いてみると、関東の人と関西の人では思い浮かべている卵焼きが違うなんて、驚きですね。
関西の人は甘い卵焼きなんて・・・と思うかもしれませんし、関東の人はしょっぱい卵焼きなの?と思うかもしれません。けれど、甘い卵焼きもダシたっぷりのしょっぱい卵焼きもどちらも食べてみるとおいしいです。関東風と関西風、どちらもおいしいですから一度両方の卵焼きを作ってみて食べ比べてみませんか?また旅行に行ったときなど、旅行で関東、または関西に行ったらコンビニで売っている卵焼きをおみやげに買うのもよいかも。家族へのお土産に買ったら、みんな喜びますよ。