日本にチップがない理由は?由来・歴史から考えてみた
日本ではチップを出すという習慣はありません。
ですが、海外に行ったときに必要になるものがチップ、チップをださなきゃいけないということはわかっていても、普段出す習慣がないため、どういうタイミングで出したらよいのか悩みますよね。
そもそもどうしてチップは必要なのか、と思う方もいらっしゃるでしょう。
チップとはどういうものなのか、どうして日本にはチップがないのか、日本以外にチップが要らない国ってあるのか、チップについて考えました。
日本にチップがない理由
カテゴリ | 説明 |
---|---|
チップ制度の現状 | 日本では一般的にはチップが存在しない |
過去の状況 | かつては日本でもチップ制度があったが、現在は廃れている |
サービス料 | 高級ホテルやレストランではサービス料が自動的に追加される |
レシートについて | サービス料のパーセントがレシートに記載されている |
心づけの場合 | 特別なサービスや配慮があった場合、心づけを渡す場合もある |
心づけの金額 | 金額は決まっていないが、宿泊した場合は1部屋に1000円から3000円程度が一般的 |
では、どうして日本にはチップがないのでしょうか。実は、かつては日本でもチップ制度がありました。しかし、現在は廃れており、今ではほとんどのところで払う必要がないとされています。
どうしてチップ制度が廃れたのかと言えば、日本の高級ホテルやレストランではすでにサービス料という形で代金とは別に請求がされているからなのです。
レシートを見てみると、サービス料〇パーセントという記載が出ています。そのチップはサービス料という形で自動的に支払われているのです。
基本的に日本にはチップはありませんが、日本ではチップを渡してはいけないというわけではありません。
たとえば旅館のスタッフの方に、サービス時間外なのに駅まで迎えに来てもらったり、部屋を汚してしまったのに大丈夫ですよと言ってもらえたときなど、そういう特別な時の配慮に対して、心づけをお渡しするという場合もあります。
心づけは海外のチップのように金額は決まっておらず、自分の気持ちとして宿泊した場合は1部屋に1000円から3000円程度、出す人が多いようです。
日本だけじゃない!チップが要らない国
日本以外にも、チップを渡す必要のない国も多くあります。
国名・地域 | チップの状況 | 特記事項 |
---|---|---|
オーストリアなど | サービス料込みの場合は不要 | タクシーやベルボーイには多くの場合チップが必要 |
オーストラリアなど | 一般的には不要 | 特別なサービスを受けた場合にはチップを渡すことがある |
アルゼンチン | 不要・法律で違法 | チップを渡すと失礼にあたることもあり、法律で違法 |
フランス | 法律でサービス料込み | 法律でサービス料込みの料金を提示する必要があるため、特別な場合以外はチップは不要 |
オマーン | 庶民的な店では不要 | チップを渡すと失礼にあたる場合もある |
オーストリア、オランダ、ブラジル、ロシア、チリ、南アフリカ、アイルランド、トルコ
サービス料込み、つまり伝票にサービス料が上乗せされているレストランであればチップは必要ありませんが、それ以外の場合ではチップが必要になります。
これら国ではタクシーやベルボーイなどにもチップを渡すことが多いです。
オーストラリア、香港、スウェーデン、中国、インド、スイス、フィンランド、インドネシア、韓国、デンマーク、イタリア、スペイン、ドバイ、イスラエル、シンガポール、マレーシア、フィジー、台湾、ドイツ、ノルウェー、イギリス、ギリシャ
一般的にはチップは必要ありません。けれど心からのサービスを受けたときには、そのお礼の意味でチップを渡します。
タクシーやレストランでは払うことが多いです。
アルゼンチン、フランス、オマーン、イエメン
これらの国は日本と同じくチップは不要で、チップを渡すと返って失礼にあたることがあります。
アルゼンチンではチップが法律で違法となっています。
フランスではレストランやタクシーにはチップが必要となることもありますが、法律でサービス料込みの料金を提示する必要があるためチップは必要ありません。
オマーンなどは庶民的な店の場合は特に必要ありません。
チップとは
カテゴリ | 説明 |
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起源 | イギリスの床屋さんで「To insure Promptness」という料金箱から誕生したとされる |
意味 | 迅速なまたは良いサービスに対する報酬 |
イギリスのチップ | 労働の対価として強い要素がある |
フランス・ドイツのチップ | サービスに対するお礼として広まった |
効果 | サービスが向上するが、給料が下がる可能性もある |
アメリカのチップ | 10%から15%のサービス料が一般的で、その金額は給料に見込まれている |
注意点 | 国によって習慣が異なるので、海外旅行の際は事前に調査が必要 |
チップはヨーロッパの床屋さんで始まったのではないかと言われています。イギリスの床屋さんでは、髪の毛を切る以外に「血抜き」という施術を行っていました。
「血抜き」には料金は定められておらず料金箱の中にお客さんが出せる金額を入れるようになっていました。この料金箱に書かれていた言葉「To insure Promptness」の頭文字からTIP(チップ)が生まれたという説です。
「To insure Promptness」とは「迅速さを保証するために」という意味。イギリスのパブで迅速にサービスを受けたい人のために「To insure Promptness」と書かれた箱を置いたことに由来するという説もあります。
イギリスのチップはどちらかというと労働の対価という要素の強いものであるのに対し、フランスやドイツでは、従業員のしてくれたサービスにお礼をする意味でチップを払う習慣が広まっていきます。
チップをもらえば、従業員はさらによいサービスをしてくれますよね。チップを払うことにより、お客さんに対するサービスが向上したわけです。
しかしチップをもらえるだろうからということで従業員の給料がその分下がるという問題が発生するようになり、チップを廃止する動きも出ています。
チップの金額には決まりがない国も多いのですが、アメリカではチップはサービス料金の10%から15%という決まりがあり、その金額は給料の中に見込まれています。
国によってチップについての考え方は違うので、チップにはどういう意味があるのか、いくら払ったらいいのか、海外旅行に行くときは、事前に調べておいた方がよさそうです。
チップは必要かどうかは、事前にその国の文化を調べておこう
日本ではチップの文化がないために、海外旅行に行くときは特にチップに戸惑いを覚えてしまいます。
でもチップの必要な国と必要のない国、これは文化の違いにあります。
それぞれの国はどうチップについて考えているかは、ガイドブックなどを調べればわかりますから、失敗しないようにしっかり調べておきましょう。
チップを渡す場合もスマートに渡すようにしてみてくださいね。