「炒める」と「焼く」の違いは?代表的な調理法について考えてみた
何かを作ろうと料理本のレシピを見て、よく出てくる言葉に炒めると焼くがあります。
炒めるも焼くも、どちらも基本の調理法の一つなのですが、どちらも同じイメージを持っている方が多いのでは?炒めるとはどんな調理法なの?
焼くとはどんな調理法なの?改めてどんな調理法なのかを考えてみると、うまく説明できない人が多いのではないでしょうか?
炒めるも焼くも、どちらも基本の調理法でとても大事なものです。
どちらも火を通すということはわかっているのだけれどどんな違いがあるのか、道具や特徴、歴史などの点で、炒める、焼くの2つの違いを考えてみましょう。
「炒める」とは
項目 | 説明 |
---|---|
炒めるの意味 | 調理器具で食材を混ぜながら加熱する。 |
使用する調理器具 | フライパン、鍋など。 |
食材の形状 | 一層になるぐらいの量で、小さく刻まれた食材。 |
油の使用 | 基本的には少量の油を使用するが、必ずしも必要ではない。 |
調理時間 | 食材が小さく刻まれているので、火が通るまでに時間はそれほどかかりません。 |
火の通り | 食材をかき混ぜることで、均一に火が通る。 |
味や風味 | かき混ぜながら調理することで、味や風味がつく。 |
歴史 | 日本での炒める料理法は明治時代から一般的になり、当初はバターなどの貴重な油が使用されていた。 |
炒めるは、調理器具を使用してその中で食材を混ぜながら加熱する、という意味があります。この調理器具とはフライパンやなべなどのことです。
炒めるは、フライパンや鍋などの中にだいたい一層になるぐらいの量の小さく刻まれた食材を入れて素早くかき混ぜるというのが大きな特徴です。
基本的に炒めるときは少量の油を入れてから食材を入れますが、必ず炒めるときに油が必要だというわけではありません。
炒めるときの食材は小さく刻まれていますから、火が通るまでに時間はそれほどかかりませんし、火を通すときに食材を調理器具の中でかき混ぜますから、食材全体は均一に火が通りますし、味や風味がつきます。
日本で一般的に炒めるという料理法が使われるようになったのは明治時代に入ってからだと言われています。
これまでは天ぷらのような揚げ物はあったものの、炒め物はされていませんでした。
しかし、明治時代から大正時代にかけて、西洋風の調理法が紹介されるようになってから、日本でも野菜炒めなどの炒め物が作られるようになりました。
当時は食用油が貴重品だったため、バターなどを使ったものが一般的だったようです。
「焼く」とは
項目 | 説明 |
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焼くの意味 | 火を使って食材を直接加熱する。食材以外にも石や陶器などに対して使われる。 |
使用する調理器具 | 以前は直火が基本だったが、現在はフライパン、鍋、鉄板なども使用される。 |
調理の特徴 | 食材を動かさずにじっくり火を通す。 |
食材の種類 | 肉、野菜など多様な食材が使用される。 |
調理時間 | じっくり火を通す必要があるので、時間がかかる場合がある。 |
焼き方の種類 | 直火焼き、炭火焼き、鉄板焼き、炙り焼きなどがある。 |
歴史 | 人類が火を使い始めた旧石器時代から存在し、当初は直接火にさらして焼いたり、焼いた石で焼いていた。 |
焼くとは火を使って食材を直接加熱する、という意味があります。焼くという言葉は特に調理にだけ使われる言葉ではありません。
ですから、石を焼く、陶器を焼くなど、食材以外のものに対しても焼くという言葉は使われます。
基本的に焼く場合には、直火を使うことが基本でした。しかし現在では長期器具が発達し、フライパンや鍋、鉄板などを使って焼くことが出来るようになっています。
焼くときの特徴は、食材を動かさずにじっくり火を通すということです。そうすることで食材の表面には焦げ目がつき、食材には内部にまでしっかり火が通ります。
食材は肉や野菜など様々です。じっくり火を通す必要があるため、焼くはほかの調理方法に比べると時間がかかります。
焼くには直火焼き、炭火焼き、鉄板焼き、炙り焼きなどいろいろな焼き方があります。
焼くにはかなり長い歴史があります。人類が火を使うようになったのは旧石器時代のことです。
石器を使ってとった動物や魚、植物や木の実などを人は直接火にさらして焼いたり焼いた石で焼いたと考えられます。
「炒める」と「焼く」の違い
項目 | 炒める | 焼く |
---|---|---|
加熱の方法 | 強火で短時間 | 弱火や中火でじっくり |
食材の動き | かき混ぜる | あまり動かさない |
調理器具 | フライパン、鍋など | フライパン、鍋、鉄板など |
調理時間 | 短時間 | 時間がかかる場合がある |
食材の形状 | 小さく刻まれた食材 | 多様な形状 |
適用される食材の例 | 野菜、肉など | 肉、野菜、魚など |
食材の型崩れのリスク | 食材によっては型崩れする場合がある | 型崩れのリスクは低い |
例外 | 焼き餃子など、一部の食材はひっくり返すがかき混ぜないため炒めるではない |
炒めるも焼くも、火を使って加熱する調理法ということでは違いがありません。大きな違いは食材をかき混ぜるか、または放置するかです。
焼くというときは、食材をあまり動かさずに弱火や中火にしてじっくり火を通します。
炒めるというときは、食材の水気を飛ばして食材をかき混ぜながら強火で短時間で火を通します。
食材同士をぶつけるように加熱するのが炒めるという行為です。
ぶつけるようにかきまぜることで素早く火を通すことが出来るわけですが、食材によってはかき混ぜると型崩れしてしまうものがありますよね。
たとえば焼き餃子は焼くときにひっくり返すことはありますが、崩れてしまうのでかき混ぜたりはしないですよね。ですから、焼き餃子は焼くであって炒めるではありません。
じゃあ「焼きそば」は?
項目 | 説明 |
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名前と調理法の一致 | 名前は「焼きそば」だが、実際の調理法は焼くと炒めるの中間となる。 |
調理法 | 鉄板やフライパンで食材をかき混ぜながら火を通すが、焦げ目をつけるために少し放置することもある。 |
なぜ「焼く」が使われる | 習慣的な理由で「焼く」という言葉が使われている。炒飯(チャーハン)も焼き飯と呼ぶことがある。 |
調理器具 | 鉄板、フライパンなど |
調理時間 | 焼くよりは短いが、炒めるよりは長い可能性がある。 |
適用される食材 | ソバ、野菜、肉など |
名前の由来 | 習慣的な理由で「焼く」という言葉が使われており、明確な由来は不明。 |
違いが分かったところで、疑問になるのが焼きそばについてです。
焼きそばは焼くという言葉がついているのですが、調理法を考えてみると、鉄板の上などで食材をかき混ぜて火を通しますよね。
調理法を考えると焼きそばや焼くのではなくて炒めるのではないでしょうか。
けれど、焼きそばを焼くときは、焦げ目をつけるために少し放置したりします。
ですから、完全に焼きそばは炒めるだけとは言い切れません。焼きそばは焼くと炒めるの間の料理と言えます。
焼くと炒めるの中間なのにどうして焼きそばには焼くという字が使われているのか、疑問を感じますが、これは習慣的なところから来ていると言われています。
炒飯(チャーハン)のことも焼き飯と呼ぶことがありますし、焼きそばは習慣で焼くという言葉で呼ばれるようになったようです。
焼くも炒めるも極めてあなたも料理上手に
基本的に焼くと言われたら食材をひっくり返すぐらいでかきまわさずにじっくりと火を通すこと、そして炒めると言ったらかき混ぜて短時間で食材に火を通す調理法を指します。
炒めると焼くは日本では同じように考えられていたりもしますが、かき混ぜなければいけないのに放置したり、かき混ぜてはいけないのにかき混ぜて形を崩してしまってはおいしい料理は作れません。
調理するときは、かき混ぜるかかき混ぜないか、強火にするか弱火にするかなど、調理法をよく見てから作るようにしてくださいね。