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おせちにくわいは関西だけ?意味と関東との違いを解説

普段は洋風の料理や中華料理が好きな家庭でも、おせちの中には昔ながらの和食の料理を詰めます。

中には普段ほとんど使うことのない食材もありますが、そのひとつが「くわい」です。

「くわい」と聞いておせちを連想する人もあれば、「うちのおせちには入ってないな」と思う人もいるかもしれません。

おせちに入れる意味・地域からおすすめの食べ方まで、なじみのない人も多いくわいについてまとめました。

おせちにくわい(慈姑)を入れる理由

くわいとは?

種類 特徴的な味わい 日本での出回り 用途
青くわい ほろ苦い 一番多い 家庭料理、一般的な用途
白くわい 淡白 少ない 主に中華料理
吹田くわい 甘み(栗のよう) 高級料亭など限定 高級料亭、特別な料理

くわいは中国原産の里芋のような形をした野菜です。中華料理でもくわいを使った料理はいくつかあります。くわいの中には次の3種類があります。

  • 青くわい
  • 白くわい
  • 吹田くわい

日本で昔から食べられているくわいは青くわいです。

その名前のとおり青みを帯びた青くわいはほろ苦い味わいをしていて、ほくほくした食感が特徴です。日本では一番多く出回っているくわいの種類です。

白くわいは主に中国で作られているくわいです。中華料理で使われているくわいは白くわいになります。白くわいは淡白で、シャリシャリした食感が特徴です。

吹田くわいはなにわの伝統野菜です。他のくわいとは違ってちょっと小ぶりの吹田くわいは青くわいのような苦味がなく栗のような甘みがあります。

出回っている数は少なく、高級料亭などで使われることが多いため一般家庭ではあまり見かけない吹田くわいは、食感がもっとも優れていると言われています。

くわいの名前の由来

説のタイプ 説明 最終的な名前
形状から 鍬の形に似ているため「鍬芋(くわいも)」と呼ばれた くわい
栽培方法から 田んぼで作られるため「河芋(かわいも)」と呼ばれた くわい

くわいの名前の由来にはいくつかの説があります。

その一つがくわい(鍬芋)の名前から来たというものです。昔から畑を耕す時に使われる鍬の形に似ていることから、くわいは「鍬芋(くわいも)」と呼ばれるようになりました。

そのうち、一番最後の「も」がとれてくわいと呼ばれるようになったという説が有力です。

もう一つの説は栽培方法から来ています。くわいは田んぼで作られる野菜です。

そのため、河で作られる芋だから「河芋」とよばれるようになり、「河芋(かわいも)」が転じてくわいと呼ばれるようになったと言います。

くわいをおせちに入れる理由

理由 説明
出世祈願 芽が上に向かって伸びているから
めでたい 「芽出たい(めでたい)」という言葉に由来している

くわいをおせちに入れるようになったのは、その形に理由があります。

くわいは芽が出ていることが特徴です。芽が上に向かって伸びていることから、くわいは出世祈願の意味で使われるようになりました。

たしかに、上に向かって伸びている芽を見ると、出世や向上がイメージされますよね。

くわいにはもう一つ、めでたいという意味があります。

それも同じくくわいの芽が出ていることから、「芽出たい(めでたい)」という言葉につながるとされ、お祝いごとであるおせちの中に入れられるようになったようです。

くわいをおせちに入れるのは関西だけ?

地域 生産地 おせちに含まれるか 料理の特色
関西地方 広島県福山市(1位) はい 出汁を効かせた薄味
関東地方 埼玉県越谷市(2位) はい 濃い味付け

「くわいを入れるのは関西だけじゃないの?」という方もいらっしゃいます。

たしかに日本一の生産地は広島県福山市で、全生産量の8割を占めているほか、くわいの料理の一つであるくわい煮は京都など関西地方で有名です。

でも関東地方や東海地方のおせちの中にもくわいは入っています。生産地についても2位は埼玉県越谷市ですから、関東でもくわいは作られているのです。

ただし、くわいの料理は関東よりも関西で好まれる傾向にあります。関西では出汁を効かせた薄味が人気ですが、関東など東日本では濃い味付けが好まれます。

くわい煮はあっさりした味付けですから、関西の方の好みに合っているのでしょう。

くわいの食べ方

おせち料理 くわいの含め煮
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ステップ 手順やポイント
皮むき 六方剥きで皮を剥く。芽は1cm程度残す
アク抜き 皮を剥いた後、水に1時間つけて、コメの研ぎ汁で10分茹でる
事前準備 底を平らに切り落としておく
煮る だし汁、砂糖、しょうゆ、みりん、塩を入れてじっくり煮る

くわいの料理といえばおせちに入っているくわい煮が有名です。

くわい煮は六方に剥いてアク抜きをしたくわいをだし汁、砂糖、しょうゆ、みりん、塩を入れて火にかけ、落し蓋でじっくり煮含めて作ります。

くわいは下ごしらえをしっかりすることで美味しく食べることができます。まず必要なことは皮むきです。

くわいに形が似ている里芋などは簡単に皮が剥けるのですが、くわいはちょっと工夫が必要です。くわいの皮の剥き方は「六方剥き」です。

これはカブの剥き方と同じなのですが、お尻の部分から包丁を入れて芽の部分に向かって包丁を入れていきます。

一面を剥き終わったら対面を剥くようにして、全部で六面剥いてください。こうすることで煮崩れしにくくなります。

くわいは芽の部分に意味がありますから、芽はとらずに1cmぐらい残すようにしてください。

くわいはコロコロしていて転がりやすいですから、底の部分をあらかじめ平らに切り落としておくと、後で出来上がった後にお重の中に並べやすくておすすめです。

くわいでもう一つ忘れてはいけないものがアク抜きです。アク抜きをしないとアクが強すぎて苦くて食べにくいです。

アク抜きにはちょっと手間がかかりますが、皮を剥いた後1時間ほど水を入れたボールにつけ、その後コメの研ぎ汁で10分ほど茹でてください。

その後、水で洗い流せばアクが抜けて美味しいくわい煮を作ることができます。

くわい煮以外のくわいの食べ方は?

くわいはくわい煮だけではありません。さっと洗ったくわいを素揚げしても、おいしくいただけます。ほろ苦い味わいが何とも言えませんよ。

その他にも、くわいは青菜などの野菜や豚肉と一緒に炒めても美味しいですし、ちょっと変わり種としてはすりおろして練り、くわい餅にするという食べ方もあります。

おせちでおめでたいくわいを食べて新年を祝おう

お正月に食べるおせち料理の中にはおめでたい意味がある具材がいろいろ入っていますが、その中でもくわいは立身出世を意味する大切な野菜です。

とてもおめでたい野菜ですから、お正月はくわいを食べて、これからの幸せを祈りましょう。煮物に飽きたら他の食べ方も試して、くわい料理を楽しんでくださいね。

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