祝い肴とは?おせちに欠かせない3つの料理と関東・関西の違い
1年に1度お正月になると食べるおせち料理。おせち料理を大きく分けた一つに祝い肴があります。3種類ある祝い肴、その3種類が関東と関西では違うということはご存知ですか?
どれが祝い肴か聞かれてもわからないという人もいるでしょう。祝い肴にはどんな意味があるのでしょうか?関東と関西の祝い肴の違いは?知っておきたい祝い肴についてお話しします。
祝い肴とは
祝い肴はお正月のおせち料理だけに存在するものではありません。祝い肴とは、お祝いの膳に出される酒の肴のことを指します。
祝い肴の代表的なものとして言われているのが鯛と鯉です。鯛は「めでたい」という語呂合わせもありますし、形や色合いからもおめでたい席にはぴったりの肴です。また鯉は「鯉の滝登り」という言葉に出世や栄転という意味があることから、おめでたいものとして祝い肴として祝い膳に出されるようになりました。
祝い肴の中でもおせち料理に入れられているのは3種類で「三つ肴」とも呼ばれています。
祝い肴はどうして3種類なの?
「三つ肴」とも言われているおせちの三種の祝い肴は、この三品とお餅でおせちが整いお正月が迎えられるとされているおせちの中でも大切な料理です。
どうして3種になったのか、それは「3」という数字に答えがあります。「3」とは完全を意味します。ですから、お正月を迎えるためには、この3種類の祝い肴をすべて整えておくことが求められます。
関東と関西の違い
同じ祝い肴でも関東と関西では種類に少し違いがあります。
関東で祝い肴といえば、黒豆、数の子、そして田作りです。これに対し、関西で祝い肴といえば、黒豆(ごまめ=田作り)、数の子、そしてたたきごぼうを指します。
数の子は、普段はあまり食べないけれど毎年お正月になると食べるという人も多いでしょう。数の子も関東、関西どちらの祝い肴にも入っています。数の子はニシンの卵で小さな粒状の卵がたくさん集まっています。ニシンは「二親」とかけて、両親からたくさんの子供が生まれますように、子孫が反映しますようにという願いが込められています。また、数の子は小さな卵がたくさん集まっていることから、子だくさんがイメージされます。ということから、将来の子孫繁栄を願って食べられます。もう一つ、数の子の色が黄金色なことも縁起が良いとされています。
黒豆はまめに暮らす、まめに働く、という語呂合わせになっていますし、「黒まめ」には真っ黒に日焼けするほど元気、丈夫、健康などの意味がありますから、これからの元気や丈夫、そして健康な生活を願う気持ちが込められています。関東の祝い肴にも関西の祝い肴にも黒豆は入っていますが、調理方法が関東と関西では違います。関東では黒豆をしわが付くように煮ます。
しわがつくことで、「しわが寄るまで元気に働けますように」という願いが込められているのです。一方の関西では黒豆を柔らかく、そして丸くなるように煮て作ります。地域によって、同じ黒豆でも作り方が違う、と言うことは覚えておくといいですよ。
田作りとは、カタクチイワシの稚魚を乾煎りして醤油やみりん、砂糖で煮詰めて作ったものです。田作りはその文字が示す通り田を作ることを意味します。イワシは魚なのにどうして田を作るものとされているの?と不思議に思いますよね。これはイワシが畑の肥料として使われていたからです。
イワシの肥料はもっとも高級で、これを使うことによって稲が豊作になると言われてきました。このことから、田作りには五穀豊穣を祈る気持ちが込められています。田作りにはごまめという呼び方もあります。ごまめは漢字で「五万米」または「五真米」と書き、五穀豊穣や健康を祈る気持ちが込められています。
たたきごぼうは、関東の祝い肴の中には含まれていませんが、関西の祝い肴の一つに含まれている料理です。関西では黒豆、または他作りの代わりにたたきごぼうが入ります。たたきごぼうにはいろいろな意味が込められています。その一つが五穀豊穣です。ごぼうはおめでたい象徴である黒い瑞鳥と形や色が似ていることから、豊作を願って食べられるようになりました。また、ごぼうが地に深く根を張ることから家の安定を願う意味もありますし、薬として使われていたことから新年の健康を願う気持ち、やわらかく煮てたたいて身を開く作り方から、新年の運を開くという意味もあります。
これからの幸せな1年を願って…
関東と関西ではその内容に違いはあっても、新年に向けた願いは一緒です。五穀豊穣や健康、そして子孫繁栄ー大切な願いが込められていることを忘れずに、それぞれの意味をかみしめながらおせち料理の祝い肴を食べてお正月を送ってくださいね。