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おせちには筑前煮!食材の意味と煮しめ・うま煮との違い

おせち料理にはいろいろな種類のものが入っていますよね。その中でも、けっこう多めにたっぷり用意するものといえば筑前煮です。「小さいお重では入りきらない」と言いながらも、鍋いっぱいに作るご家庭もいらっしゃるのではないでしょうか。

筑前煮の中に入っている野菜には、それぞれ大切な意味が込められています。食材に込められた意味、よく似ている煮しめやうま煮との違いなど、おせち料理に欠かせない筑前煮についてまとめました。

筑前煮とは

筑前煮とは根菜を中心にした野菜と鶏肉の煮物で、和食の基本料理です。お母さんの味として懐かしく感じる人も多いでしょう。

筑前煮は、福岡県筑前地方の郷土料理であることから、筑前煮という名前がつけられました。筑前煮の中にはたくさんの種類の食材が入っています。それぞれ家庭によって入れるものが違う場合もありますが、次の食材が使われることが多いです。

  • 鶏もも肉
  • しいたけ
  • こんにゃく
  • れんこん
  • ごぼう
  • たけのこ
  • にんじん
  • 里芋
  • 絹さや

煮物を作る時にはだし汁の中に具材を入れて煮込むことが多いですよね。筑前煮は、だし汁を入れなくてもおいしく作れます。たくさんの具材が入っていますから、それぞれの具材から旨味が出るために、特にだし汁を入れなくてもよいのです。筑前煮は、醤油味にして汁を煮詰めて作ります。濃いめの味付けにすることで、日持ちがして、正月の間、十分食べることができます。

福岡県の郷土料理だった筑前煮が全国に広まったのは、学校給食のメニューに採用されたことがきっかけです。公立の学校で給食が普及するようになってから、郷土料理の一環として筑前煮が登場するようになり、全国の人に名前を知られたようですよ。

がめ煮との違い

筑前煮と同じく福岡県の郷土料理にがめ煮があります。がめ煮とは、「がめくり込む(寄せ集める)」という博多弁から来たという説と、野菜とすっぽんを煮た「亀煮」ががめ煮と呼ばれるようになったという説があります。

筑前煮とがめ煮はどちらも福岡県の郷土料理ですし、野菜などの具材も同じ、砂糖と醤油で味付けをするところも一緒です。では、筑前煮とがめ煮の違いは使うお肉にあります。がめ煮に使うお肉は同じ鶏肉でも、骨付き肉だそうです。ですから、骨付き肉で作られていればがめ煮、そうでなければ筑前煮と考えればよいでしょう。

煮しめとは

じっくりと時間をかけて煮含めて味を染み込ませる「煮しめる」という調理法から生まれた料理が「煮しめ」です。筑前煮にはある程度具材の決まりがありますが、煮しめに関しては具材も味付けもさまざまで、決まりがありません。地域によってはちくわなどの練り物や魚を使うところもあり、かなり地域性のある料理です。いろいろな具材を一緒に煮る、という煮しめには家庭円満の願いが込められています。

煮しめは煮汁が少なくなるまでじっくり煮込んで作りますが、煮えるまでの時間は具材によって違いがあります。たくさんの種類のものを一緒に煮ては崩れてしまったり色移りすることもあるので、きれいに仕上げたいときには、1品ずつ別々に煮ることも多いです。根菜類は沸騰してからいったん火を止めることで、どんどん味が浸透していきます。美味しく食べるためには弱火で煮たり、一度冷ましてから再加熱するのがおすすめです。

煮しめはおせち料理だけに存在する料理ではありません。各家庭それぞれの味がある煮しめは、おふくろの味として普段の食事としても多くの方に親しまれています。

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筑前煮と煮しめの違い

筑前煮と煮しめの最大の違いは、筑前煮には鶏肉が使われていること、そして煮る前に油で炒めていることです。煮しめの中には普通、鶏肉は入っていません。炒めてから煮る調理法は、筑前煮の最大の特徴です。

具材を炒めてから煮ることには、いくつかのメリットがあります。まず第一に、炒めてから煮るとアクが出にくいという点が挙げられます。筑前煮の場合は煮る前に油で炒めるため、油で野菜や鶏肉の表面がコーティングされます。アク取りは煮物作りに欠かせない作業ですが、炒めることで表面がコーティングされ、アクが出にくくなるのです。

炒めるときに火を通すので、煮る時間が少なく済むのもメリットのひとつ。長時間煮ると煮崩れの心配がありますが、筑前煮は最初に炒めてから煮るので煮崩れしにくいのがうれしいですね。

うま煮とは

うま煮の「うま」は旨味を示す旨から来ています。いろいろな具材を煮込めば旨味は合わさり、単品で煮るよりもおいしく仕上がります。

もう一つ、うま煮は「甘煮」から来ているという説もあります。昔は砂糖が貴重品でした。塩や醤油の味付けは一般的でしたが、甘みがある砂糖の味付けは珍しく、砂糖を入れて甘い味付けにするうま煮には、贅沢なイメージがあったのです。

うま煮は地域によって作り方も味付けも異なります。場所によっては、旨煮と煮しめを同じものとしているところもあるようです。和食はもちろん、中華料理でも八宝菜などを「うま煮」ということがあります。

うま煮は味付けも豊富です。出汁の他には、砂糖、みりん、醤油、酒を使って甘く、美味しく煮込みます。

食材に込められた意味

筑前煮に入っているれんこん、こんにゃく、にんじんはどれも「ん」が入っています。「ん」のつくものは運盛りと呼ばれる縁起物です。

  • れんこん:穴があいていて先の見通しがきく
  • こんにゃく:手綱こんにゃくにすることから縁結び
  • にんじん:梅の花をイメージ

この他の食材にも、家族の健康や幸せを願う気持ちが込められています。

  • ごぼう:地中深くまで根を張ることから土地に根を張って末永い繁栄を願う意味から使われています。
  • 里芋:親芋、小芋、孫芋と増えていくことから子孫繁栄を意味する縁起物です。里芋には切り方にも特徴があります。皮を剥く時に、亀の甲羅に見立てて六角形に向くと良いと言われています。
  • 干ししいたけ:しいたけは亀の甲羅に似ていることから、亀のように長生きできますようにという意味で使われます。
  • 昆布:喜ぶという言葉の語呂合わせから来ています。
  • たけのこ:成長が早いことから子供がすくすく育ちますようにという意味で使われます。

お正月には家族の幸せを願って筑前煮を食べよう

筑前煮は野菜がたくさん入っていて栄養も豊富です。おせち料理には珍しくお肉が入っているので、お子さんも喜ぶのではないでしょうか。お正月はみんなでおしゃべりしながら筑前煮を突くのも楽しいものですよ。一つ一つの意味を考えながら、筑前煮を食べてこれからの1年の幸せを願いましょう。

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