おせち料理に使われる食材の中には、お正月以外、ほとんど見かけることのないものも多いですよね。その代表格がちょろぎ。
でも、そもそも「ちょろぎ」を知らないと言う人も多いのではないでしょうか。
実はちょろぎは地方によって、おせちに入れないところと入れるところがあります。
おせちに入れる地方やおせち以外の食べ方、効能などちょろぎについてまとめました。
ちょろぎとは?
ちょろぎはシソ科植物の根っこの部分です。赤くて渦巻状になった形が特徴で、漢字では長老喜(ちょろぎ)と書きます。
ちょろぎの原産地中国では、古くから薬膳食材として親しまれてきました。
中国では風邪や咳をひいたときにちょろぎを食べますし、打撲したときにはちょろぎをすりつぶして患部に塗って治します。
項目 | 説明 |
---|---|
名前 | ちょろぎ(長老喜) |
部位 | シソ科植物の根 |
形状 | 赤く渦巻状 |
原産地 | 中国 |
用途 | 風邪、咳、打撲の治療、おせち料理 |
おせち料理での位置 | 黒豆の横 |
意味 | 長寿を願う |
色の変化 | 白→赤(梅酢やしそ酢で着色) |
地域差 | 関東以北でよく用いられ、関西はまちまち |
生産量 | 非常に少ない |
関西での認知度 | 一般的に低い |
おせち料理に入っている理由
ちょろぎは黒豆に添えられていることが多いです。ちょろぎという名前を知らなくても、そういえば黒豆の横に赤いものがあった!と思い出す人もいるのでは?
どうして黒豆の横にちょろぎを添えるかと言うと、これには人々の願いが込められています。
黒豆には「まめに働く」という意味があり、ちょろぎには「長寿を願う」という意味があります。
ですから、黒豆とちょろぎを合わせて「まめに働けるように健康を願う」という思いがあるそうです。
ちょろぎは赤い色をしていますが、もともとは白いもので、梅酢やしそ酢につけることで赤い色を出しています。
赤い色をつけるのは、赤がおめでたい色だからです。ちょろぎの赤と黒豆の黒は、コントラストが見事で、見た目にもきれいですね。
関西では入れないってホント?
もともとちょろぎを作っていたの東北地方だったため、ちょろぎをおせちに入れているのは関東以北でした。
それならば関西の人はちょろぎをおせちに入れていないの?となりますが、関西のすべての地域でちょろぎは使われない、というわけではありません。
最近では、関西地方でもちょろぎを作っている地域もありますから、ちょろぎを作っている地域では、ちょろぎをおせちに入れているようです。
ちょろぎは他の野菜と比べると生産量は非常に少ないです。
一般的に、関西から西の地域では、ちょろぎがおせちに入っていないどころか、ちょろぎと聞いてもそれが何なのかわからない、という方も少なくありません。
ちょろぎの効能と食べ方
項目 | 説明 |
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ちょろぎの効能 | 滋養強壮、咳止め、脳活性化、オリゴ糖含有、抗酸化成分存在 |
脳活性化の研究 | 京都薬科大学山原助教授たちによる研究で実証 |
オリゴ糖の効果 | 善玉菌を増やす、便秘解消 |
アクティオサイド | 胃酸中和、潰瘍防止 |
血行と免疫力 | 血行を良くし、免疫力を高める |
冷え性の方への注意 | 熱を冷ます効果があるため、冷え性の人は注意が必要 |
おせち以外の食べ方 | フランス料理でソテー、サラダなどとして使用 |
フランスでの使用状況 | 白い色のままでよく使われている |
花言葉 | 驚き、楽しい人生 |
一般的な食べ方の推奨 | おせち以外でも様々な方法で食べることで、健康効果を得られる |
ちょろぎの効能
ちょろぎは中国では薬膳料理に使われてきた野菜だというだけあって、体に良いさまざまな効果がある野菜です。
一番多く言われている効能は、滋養強壮、そして咳止め効果です。その他にもちょろぎには以下のような効果を期待することができます。
脳を活性化する成分が含まれている
ちょろぎの中には脳を活性化する成分が含まれている、ということが京都薬科大学山原助教授たちの研究により実証されました。
マウスで実験したところ、ちょろぎを食べさせたマウスのほうが食べさせなかったマウスよりも生存期間が長かったそうです。
ちょろぎは脳梗塞や認知症予防に効果があるのではないか、と現在期待されています。
オリゴ糖
ちょろぎの中にはオリゴ糖が多く含まれています。オリゴ糖といえば乳酸菌などの善玉菌のエサとなって善玉菌を増やす効果がある成分として知られています。
普段から便秘気味の人はもちろんのこと、普段は便通に何の問題がなくてもお正月の暴飲暴食がたたって便秘になってしまったという方は多いでしょう。
そんなときにゆっくり効いて便秘を解消してくれるものがオリゴ糖です。
アクティオサイド(抗酸化成分)
アクティオサイドとはあまり聞き覚えのない成分ですが、これは強力な抗酸化成分であると言われています。
アクティオサイドは胃酸を中和する効果が期待できます。胃酸が強い場合でもアクティオサイドは胃酸を中和してくれるので、潰瘍を防ぐことができます。
血行を良くし免疫力を高める
ちょろぎには血行を良くして免疫力を高める効果があり、体のむくみが改善し、病気になりにくい強い体を維持することができるようになります。
このように効果が高いちょろぎですが冷え性の方は食べ過ぎにはご注意ください。
ちょろぎには熱を冷ます効果があるため、もともと冷え性の方はさらに体が冷えてしまうかもしれません。でも、普通に食べる程度ならば問題はないので、ほどほどを心がけましょう。
ちょろぎのおせち以外の食べ方は?
おせちに入っていることから日本の野菜なのでは?というイメージがあるちょろぎは、実は海外でも使われています。
フランスなどヨーロッパではちょろぎが栽培されており、海外の方がちょろぎの出番が多いほどです。
日本ではおせちの黒豆の添え物として正月でしかあまり見かけないちょろぎですが、フランス料理になるといろいろな形で登場します。
サラダの素材の一つだったり、茹でて使ったりソテーしたりと、フランス料理では付け合せとして頻繁に使われています。
フランスでは赤いちょろぎではなく、そのままの白い色で使われているようです。
お正月はちょろぎを食べて健康で楽しい一年になることを願おう
ちょろぎの花言葉は「驚き」そして「楽しい人生」です。何となく幸せを呼んでくれそうな気がしませんか?
お正月のおせちとしてだけでなく、いろいろな食べ方を試して、ちょろぎを普段食べるのもいいかも。
ちょろぎを食事の中に取り入れれば、健康になって花言葉通り「楽しい人生」が送れるかもしれません。