ドラッグストアやスーパーに行くとキッチンやトイレ、お風呂など掃除する場所ごとにさまざまな種類の洗剤が売られています。しかしすべての種類を揃えるのは大変ですし、強力な洗剤は手荒れも気になりますね。
「どこにでも使えて安全な洗剤はないの?」そんな方におすすめなのが重曹です。掃除で重曹を使うとどのような効果があるのでしょうか?重曹の特徴と上手な使い方や活用法、そして使うときの注意点についてまとめました。
重曹とは
重曹は正式名称を「炭酸水素ナトリウム」と言います。重曹のほかに「重炭酸」「ベーキングソーダ」と呼ばれることもあります。
重曹はお掃除だけに使うものではありません。重曹は大きく分けて、医療用、食用、そして工業用(掃除用)に分かれます。これは重曹の純度によって分類されており、医療用が純度100%、食用が98~99%、そして工業用(掃除用)が95%~98%です。
医療用の重曹は点滴ややけどの治療、そして胃薬などに用いられます。食用はお菓子のふくらし粉として、また食材を柔らかくするために用います。家庭用の掃除に使うのは、工業用の重曹です。
重曹の特徴と効果
重曹には次のような特徴があります。
弱アルカリ性
重曹は弱アルカリ性の性質があり、酸性のものを中和することが出来ます。酸性の油汚れに重曹を使えば弱アルカリ性の力で汚れを落とせますから、油汚れのほかに焦げ付きや手あかも落とすことが出来ます。重曹は酸性のにおいを消す効果もあります。ですから、靴や生ごみなど酸性のにおいには重曹を消臭剤として使えます。
研磨効果
重曹は粒子が細かく水に溶けにくい特徴があることから、汚れの部分にこすりつけて研磨剤としても使えます。柔らかすぎず固すぎずでちょうどよい硬度の粒でできている重曹なら、クレンザーでこすると傷がついてしまいような素材のものでも、傷つけずに汚れだけを落とすことが出来ます。
発泡性
重曹の3つ目の効果は発泡性です。重曹を温めると二酸化炭素が発生します。この発泡性を利用すれば重曹で鍋にこびりついた焦げ付きなど浮かせてはがし落とすことが可能です。
重曹の使い方は3つ
重曹は粉・液体・ペーストと3つの使い方があります。掃除する場所や汚れ具合によって使い分けるのがポイントです。
そのまま粉で
重曹は粉の状態のまま使えます。粉を汚れの部分にふりかけてスポンジでこすり洗いすれば、研磨効果で汚れや焦げ付きなどを落とすことが出来ます。また重曹の消臭効果を利用して、ぬいぐるみや革靴など、水に塗らせないのだけれど臭いが気になるものに直接振りかけて消臭することも可能です。
水に溶かして
水に溶かして重曹水を作っておけば、いろいろな用途で使うことが出来て便利です。重曹水は水500mlに小さじ2杯の重曹を溶かして作ります。使いやすくするためには、できあがった重曹水をスプレー容器などに入れて使いましょう。
重曹水は食器洗いやお風呂のぬめり取りなどあらゆる場面で活躍します。かわいた後は白く粉が残ってしまいますから、水ですすいだり仕上げ拭きを忘れずに。
重曹ペースト
壁のしつこい汚れなどは重曹ペーストを使うと効果的です。重曹ペーストは場所や用途によって混ぜる割合を変えますが、基本の混ぜる割合は重曹3:水1です。
重曹ペーストはしっかり吸着させてから掃除することがポイントですよ。
重曹の活用法
重曹は汚れの気になるさまざまな場所に使えます。
換気扇(ファン・フィルター)
台所の換気扇は油がべったりついていて、掃除することが大変なものの一つです。大掃除のときに取り出してみたら、フィルターやファンがべたべたの上にほこりまでついていて、どうしたらよいか途方に暮れることも。
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そんなときには重曹の出番です。まずは換気扇からファンやフィルターを外して乾いた場所に置きます。外し方が良くわからない方は取扱説明書を参考にして取り外しましょう。そうしたら重曹を粉のままふりかけるか、重曹ペーストを塗り込む、または濃度が高めの重曹水でつけおきしましょう。2時間から3時間放置しておけば、重曹と汚れは中和して汚れが取れやすくなります。そうしたら、スポンジや歯ブラシを使って汚れをこすり落とし、最後はお湯で洗い流しましょう。
五徳
五徳やコンロの天板は油汚れがつきやすく、いったんついた汚れはなかなか落とせません。そこで使いたいのは重曹スプレー、または重曹ペーストです。軽い油汚れならば重曹水をスプレーしてふき取ればきれいになります。
汚れがひどい場合は重曹ペーストを使います。重曹ペ―ストを塗り込んでしばらく放置したら、スポンジでこすって汚れを落としてください。重曹ペーストを使うほかに煮洗いという方法もあります。水200mlに対して重曹大さじ1杯程度を溶かして沸騰させ、沸騰したら五徳を入れて10分煮ます。そうして2時間ほどさませば汚れはだいぶ落ちます。落ちなかった分については、重曹の粉をふりかけて歯ブラシでこすってみがきます。
電子レンジ
重曹を含んだ蒸気の力で電子レンジの中をきれいにします。まずは耐熱容器に水500ml、重曹小さじ1杯を入れてよくかき混ぜ、電子レンジに入れたら600Wで3分加熱します。
加熱して蒸気が出たら10分ほど蒸らします。あとは布巾で汚れを落としたら掃除完了です。もしまだ汚れが残っているようなら、歯ブラシの先に重曹を粉のままつけて汚れをこすり落としてください。
お風呂
皮脂汚れや手あかがつきやすくぬめぬめしがちなお風呂の掃除には、重曹スプレーや重曹ペーストが効果的です。重曹スプレーは浴槽のや床の掃除、重曹ペーストは壁や天井、ドアの溝の掃除に使います。
また石鹸のカスなどがこびりついた洗面器やお風呂椅子、蓋、子供のおもちゃなどは重曹を使ってつけおき洗いするのがよいでしょう。おふろの残り湯に重曹1カップ溶かしたら、きれいにしたいものをすべて入れて一晩つけこみます。翌日に水できれいに洗い流せばお風呂掃除完了です。
照明カバー・スイッチ
高いところにあり普段の掃除では触ることのない照明カバーは、ほこりがこびりついています。また、毎日使うスイッチは手垢で回りが黒くなったりしがちです。
照明カバーは重曹水を使って雑巾でふけばこびりついたほこり汚れもきれいになります。スイッチ回りも重曹水を吹きかけ、雑巾でこすり落としてきれいにしましょう。汚れがひどい場合は重曹水だけではきれいにならないかも。その場合は重曹ペーストとラップを使ってください。
ぬいぐるみ
ぬいぐるみはちょうどすっぽり入るサイズの袋に入れ、重曹1カップを粉のままの状態で入れます。袋の口を堅く縛ってふり、重曹がぬいぐるみ全体に広がるようにして30分以上そのまま置きます。ぞのあとは重曹を叩き落して掃除機で吸い取り、固く絞ったタオルでふいておしまいです。
重曹掃除の注意点
掃除の万能アイテム重曹ですが、使うときにはいくつかの注意すべき点があります。
重曹では落とせない汚れもある
重曹は弱アルカリ性のため、頑固な汚れは落とせない可能性があります。頑固な汚れを落とすには強力な洗剤が必要です。汚れがひどくならないよう、普段からこまめな掃除を心がけましょう。
こびりついた汚れを落とすことはできない
重曹は、シミや変色、こびりついた汚れを落とすことには不向きです。市販されている強力な洗剤を使っても汚れを落とすのが難しい場合には、掃除のプロに依頼することも検討してみましょう。
適さない素材がある
素材によっては重曹を使っても汚れを取ることが出来ないばかりでなく、シミや変色、傷をつけるなどかえって状態が悪くなってしまいます。
- アルミ:黒く変色
- イグサなど天然素材のラグ:変色
- 白木:黒ずみ
- 木製品:削れてしまう
- 竹や漆塗り:傷がつく
これらの素材には、重曹を使わないことが大切です。
重曹を上手に使って家の中をピカピカに
中には向かない素材もありますが、重曹は家中の掃除に使えます。焦げ付いてしまってもう捨てるしかないとあきらめていたお鍋やべたついて触りたくない換気扇も、重曹をふりかけてちょっとこすれば気持ちよいぐらいきれいになります。重曹があるといろいろなものがきれいになるのでお掃除が楽しくなってきますよ。
汚れはひどくならないうちに掃除すれば手間もかかりません。気が付いたときにさっと使って汚れが取れるよう、重曹水を詰めた重曹スプレーをいつでも使える場所に置くなどして、家の中をピカピカにしましょう。